前回の記事では、ブロックチェーンには大き分けて、“パブリックブロックチェーン”と“プライベートブロックチェーン”の2種類があることを説明しました。

今回は、パブリックチェーンとプライベートチェーンのそれぞれのメリットとデメリットについて説明したいと思います。


パブリックブロックチェーンのメリット・デメリット
パブリックチェーンは、取引記録が世界中に公開されており、だれでも参加可能なブロックチェーンであり、取引の承認を不特定多数のノードやマイナーが行います。

パブリックチェーンのメリットは、多くの人の承認が必要なため不正がされにくいという点です。また、特定の管理者が存在しないため、中央機関の情報漏洩や改ざんによるカウンターパーティリスクがないこともメリットと言えます。

無数のサーバーによってシステムが稼働しているので、いくつかのサーバーが攻撃を受けたり停止したりしても、システムは動き続けるという強みもあります。

一方で、管理者がいないことによって合意形成を多数の人が確認する必要あり、承認までに時間がかかってしまうことや、仕様(システム設計)の変更が困難なことがデメリットとなります。

プライベートブロックチェーンのメリット・デメリット
プライベートチェーンは、権限が1つの組織に集約され、集中管理している閉じたブロックチェーンの事をいい、取引の承認は管理主体によって予め指定された一部のノードが行います。

承認者が少ないので承認作業が早く行われることや、管理者が仕様の変更を決めることができ、全参加者の合意が必要ないことから、仕様の変更を容易に実行できることがメリットとなります。また、マイニング報酬が不要なことや、参加者を制限できるので管理がしやすく、情報の保護が出来る事も、プライベートチェーンのメリットと言えます。

デメリットとしては、取引の承認を集中管理で行うため、透明性が低くなることで権利者による改ざんが容易にできること、ブロックチェーンを構築するためのコストがかかることがあげられます。また、管理者にトラブルがあった場合、最悪システムが停止してしまう可能性もあります。

用途に応じて使い分ける
パブリックチェーンでは、ブロックチェーンに記録されたデータを書き換えることはほぼ不可能なので、永続的なデータの保存に適しています。さらに、誰もがそのネットワークに参加することができ、ブロック承認の検閲耐性や透明性が高いことから仮想通貨の運用に用いられます。

一方プライベートチェーンでは、プライバシー性に優れていることや合意形成までの時間が短くて済むことから、組織内での情報管理に向いていると言えます。そのため、様々な企業がプライベートチェーンの活用を試みています。積水ハウスはその一つであり、世界で初めて実用的なシステムの導入に至りました。